最近、発達障害(神経発達症)と診断される子が増えて、
各園何人かは「療育」「発達センター」に
通っているのではないでしょうか。
時々、療育や発達センターから
発達検査結果やコメントの書類をもらうけど、
実際何をやっているのかよく分からないという人も多いですよね。
そこで、
保育園で勤務して8年目、
我が子が療育に通い始めて丸1年の私が、
保育園でよく聞く療育の疑問5選を
まとめて解説します。
①療育って何するの?発達障害が治る魔法があるの?
療育とは「医療+教育(保育)」の意味なのですが、
最近は「発達支援」の意味として使用されることが多いです。
乳幼児期の療育って特別な事をするわけではなく、
普段の育児や保育でもやってるような活動を
「今この発達状況だから、この活動が適切」
とアセスメントしながら提供されています。
療育の知識がない人が見ると、
ただ遊んでいるだけに見えるのですが、
どうしてその活動をしているのか説明されると、
そういう理由だったのか~!と
目からうろこ状態になります。
少人数または個別(1対1)の療育のことが多く、
その子の特性に合わせた対応がしやすいのも特徴です。
例えばうちの子の場合は、
指先を細かく調整する力をのばすために
シルバニアファミリーを使って遊んだり、
目で見て判断したものを
手先の細かい動きに反映させる目的で
パズルをしたりしていました。
②療育施設に任せておけば、療育・発達支援はOK?
色んな療育施設があるのですが、
一般的な保育園に通う子どもは、
週に1~2回の療育が多く、
少ない子だと月1回の子もいます。
(1回あたり1時間くらいが多いです)
なので、普段の生活での支援も必須で、
療育施設ですべてを完結するのは不可能です。
そのため、療育担当の先生から
子どもの現状にあった関わり方を教えてもらったり
子どもが意欲的に取り組める遊び・活動を発見したりして、
普段の保育や育児に生かすことが
療育施設に通う目的だと考えた方がいいです。
うちの子は週1回、1回1時間で
毎回担当の先生から
「今はこういう力が育ってきているので、こういう遊びがおすすめですよ」
「今後こういう力が育ってくると思うので、こういうつまづきポイントが考えられます」
など、細かく教えてもらって
普段の育児に応用しています。
③療育専門の先生が対応してくれる?
施設によっては
PT,ST、OT、臨床心理士さんなど多職種が在籍し、
リハビリや機能訓練もがっつりできます!
っていう療育施設もあるのですが、
最近、増えている民間の療育施設では、
保育士が療育を行うことが多いです。
え?保育士じゃなくて
医療・心理の専門職に担当してもらう方が
なんか療育効果が高そうに思います?
一概にそうともいえなくて、
療育の知識をしっかり学んだ保育士って
これまでの保育経験も合わさって
子どもの発達状況を適切にアセスメントできるんですよね。
なおかつ、
子どもが夢中で取り組める遊びを提供したり
遊べる環境を整えることのプロなので、
保育士が適任の場合が多いんですよね。
我が子の療育でも
担当してくれるのは保育士ですが、
「今はこの遊びがおすすめ」
「これからこういう課題が出てくるかも」
と毎回アドバイスをもらうので
親の勉強にもなります。
※発音矯正など目的があって通う場合は、
STなど医療職が毎回対応することもあります。
④療育センターと児童発達支援センターの違いは?
自治体によって違うのですが、
おおまかに以下のような傾向があります。
療育センター
・医療的ケア、重症心身障害児も対応できる
・医療職もいるので、リハビリや作業療法などもできる
児童発達支援センター
・相談・施設紹介がメイン業務
・療育や発達検査が受けられる場合もある
我が子の通う療育センターは
医療専門職も在籍していて、
専門支援を受けられるのですが、
なにせ受け入れ枠が少ないので、
重症心身障害など「重度」に分類される子が優先でした。
なので、定期的な経過報告と
発達検査を受ける時しか利用していません。
一方、私の勤務園近くには、
療育センターはなく、
通うとしたら発達支援センターしかないのですが、
発達支援センターで療育を受けている子もいれば、
受け入れ枠に限りがあるので、
月1回は発達支援センター、
週1回は民間療育に通うなど、
併用している子もいました。
同じ市・区内でも、
地域によって公的療育の内容が違ったり、
各センターの役割が違うこともあるので、
詳細はホームページで調べてみてください。
⑤早期療育がいいって聞いたけど、遅く始めるより効果的なの?
何歳までにと決まっていませんが、
最近は、1歳半健診で発達面を指摘されて、
療育を開始する子も増えてきているので、
早い子は2歳より前から療育を開始しています。
①子どもの「自己肯定感」をへし折らない
②保護者や支援者の子どもへの関わりを適切に修正できる
という2つのメリットがあるためです。
大人が標準的な子どもに合った支援しかできないと、
大多数と違う特性を持つ子どもは、
失敗体験や大人から叱られる体験が増えてきます。
そうなると、自尊心や自己肯定感が低下し、
「自分は何をやってもできない」と考えて、
いろんな経験や体験を積む機会を逃してしまい、
成長発達が阻害されることもあります。
また、周囲に理解してもらえない状況が続くと、
精神的な安心・安全をずっと感じられないままなので
精神面での発達も阻害したり、
不満・うっぷんが爆発することによる
対人関係の困難さなど
問題が山積みなってしまうんですよね。
なので、早期療育が重要な理由って
子どもに対するトレーニングよりも、
大人が子どもの特性にあった支援法を習得することなんですよね。
もちろん遅く始めても
効果が出ないわけではないですし、
早期療育を受けていれば
必ずしも「問題」が解決されるわけでもありません。
ただ、看護師としては
サポートが受けられず困っている子を知っているだけに、
できれば早く受けさせてあげたいのが本音です。