すべての保育園で、
厚生労働省が2018年3月に発表した
保育所における感染症対策ガイドラインって
基本になっていますよね。
※2023(令和5)年10月が最新です。
もちろん、全部読んだら勉強になりますが、
このガイドラインを読むべき人って
看護師だけじゃなくて、保育士もですよね?
このガイドラインって、
看護師には普通の文章に見えるんですけど、
保育士さんたちが読んでいる専門書って
医療系とは表記や論理展開が違うので、
医療者が中心になって作られたこのガイドラインって読みづらいそうです。
そこで、ここだけは理解してほしいとか
私がこのページは頻繁に読み返している
っていうところをご紹介したいと思います。
看護師でも、毎日仕事中走り回ってるので
業務時間内で全部読み解くのは難しいですよね。
業務でよく使うところから少しづつ読んでいくと
実践にもつながるので理解・記憶しやすいと思います。
ここだけは知らないとヤバイ!?
登園許可書が必要な感染症(4頁~5頁)
保育園って、学校保健安全法関係法令に準じて感染症とか保健関連の対応を行っています。
そのため、登園停止になる感染症も、学校で定められているものと同じです。
第1・2種は、罹患後に登園する時は
「○○の状態になるまで出席停止」というもので、
登園許可書が必要な保育園・自治体が多いです。
第3種は、症状が落ち着いたら登園OKというものがほとんどで、
当園許可書が必要かどうかは、保育園によって違います。
ちなみに、4ページに上の表が記載されているのですが、
その次の5ページも出席停止期間の数え方を解説していて、
インフルエンザとかよく質問されるので、
覚えておくといいですね。
でも、登園の規制をしても、どれだけ感染症拡大防止の効果があるのかよくわからないですよね。
確かに不顕性感染や、
発症前からのウイルス排泄期間を考えると、
子どもの集団生活で感染拡大を完全に防ぐのは無理ですもんね。
ちなみに登園規制は、急性期や人にうつす力が一番強い間は
集団生活しないでねっていう程度のものです。
※登園許可書とは?(83頁)
保護者や医師が記載する
感染症が治ったと思われますっていう書類です。
小児科医からは、
発症日は保護者の申告で記載するしかないから、
そこまで信ぴょう性が高い書類ではないし、
そもそも治ってから受診するって
受診時の感染機会増加のリスクは?
といった理由から、不要だという医師も多いです。
登園NG・お迎え連絡するタイミングが示されています!75~80頁
これは本当に何回も読んでいて
登園基準が書かれているので重宝しています。
園ごとに園長の裁量とかで
登園できる、できないに違いがあったりしますけど、
保護者への説明でも、
厚生労働省のガイドラインに沿った基準です
って説明したら、納得してくれそうですよね。
ちなみに、看護師から
こどもの体調不良の一般的な経過とか
臨床経験とか解剖生理学的にとか
説明できなくはないんですけど、
非医療者ってそんな説明求めてないじゃないですか。
保護者も仕事とか家事育児で
毎日いっぱいいっぱいだから
専門外のことを理解する余裕がないですしね。
だから「厚労省」っていう
権威性を前面に押し出すことで
医学的な根拠を吹っ飛ばすくらいの
謎の説得力があるので重宝しています。
あと、ちょっと理解力に乏しい園長とか主任にも
効果的だったりしません?
それは私の口からは何とも…(モゴモゴ)
ちなみに、令和5年度から
保育所の管轄は厚労省から子ども家庭庁に変更されているので、
元のガイドラインを作ったのは厚労省ですが、
令和5年度からの改訂責任は子ども家庭庁になってます。
別添2 保育所における消毒の種類と方法(72~74頁)
病院や療養施設でも、
嘔吐下痢の消毒には、次亜塩素酸ナトリウムを使用するので、
希釈方法については理解されている方が多いと思いますが、
保育園でのおもちゃの消毒について、
どのくらいの頻度やどの消毒薬が適しているのか
よく知らないのではないでしょうか。
うちの園でも、この表の内容に基づいて
消毒をしています。
おもちゃって病院だと保護者管理だったり、
プレイルームは保育士さんの管理だったりするので、
おもちゃの消毒って知らない人が多いんじゃないですかね?
私も知らなかったので、
この表を見て勉強になりました。
ただ、この表のとおりに消毒していても
舐めたり、よだれまみれの手で触ったりしたものを
その都度消毒して回るわけにいかないので、
感染拡大防止になるかというと…微妙です。
定期的に洗ったり拭いたりするので
見た目はきれいになりますけどね。
まあ、そもそもおもちゃを介さなくても、
唾を飛ばし合いながら会話してたり
よだれのついた手でお友達を触ったり、
乳幼児ってそういうものですよね…。
おもちゃの消毒だけでは、感染症を防げないですよね。
COVID-19流行中の次亜塩素酸ナトリウム濃度は要注意!
令和5年5月一部改訂版にも
引き続き次亜塩素酸ナトリウム濃度が載っています。(73頁)
これを見ると「嘔吐下痢以外の普段の掃除は0.02%」って思いますよね?
ですが!!
「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」
「3. モノに付着したウイルス対策」
(新型コロナウイルスの消毒として)
次亜塩素酸ナトリウムが0.05%になるよう薄めて拭く
と記載されています。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が
流行している時は、次亜塩素酸ナトリウムの濃度を変更しないといけないですね。
ただ、普段の掃除は0.02%で
そこから0.05%に変更すると、
職員数が多い園では、
希釈の徹底が難しそうではありますが…。
まとめ
色んな省庁や学会から
たくさんのガイドラインが発表されているので、
すべてを細部まで読み込む体力はないですよね。
業務で困ったことを中心に
ガイドラインをちょっとずつ読んでいくと、
「この箇所めっちゃ使える!」
「こういう情報が知りたかった」
っていうものに出会える時があります。
時間がある時に読んでおくと、
感染症流行時や
職員・保護者から質問された時に、
あ、ガイドラインのあの辺に書いてた!
って思い出すことができるので、
戸惑わずに済むかと思います。