2021年にPEARSプロバイダーのライセンスを取得しました。
取得したからといって、
待遇が変わるわけではないのですが、
自身をもって系統的にアセスメント出来るようになったり
自分の心肺蘇生技術が古くなっていないか確認できるので、
保育園看護師にもお勧めです。
PEARSって何?
PEARSは「ペアーズ」と読み
Pediatric Emergency Assessment, Recognition, and Stabilizationの略で
「小児救急、評価・認識・病態安定化」という意味で
おおよそ一次救急に相当します。
AHA(アメリカ心臓協会:American Heart Association)で開発されたので、
「日本では、それ看護師・救急隊員はやらないよね?」
っていう内容も含まれているのですが、
小児専門病院や専門医につなぐまでを
想定された研修内容になっています。
同じ小児領域でも、
PALS(小児二次救急)コースもあるのですが、
病院で小児の病態をどう管理するか、
という内容が中心になるので、
保育園だとPEARSの方が必要とされる内容です。
PEARSの詳しい内容・コース受講申し込みなどは
各病院・団体ホームページをご参照ください。
私は、日本ACLS協会ガイドというサイトで色々調べました。
また、看護roo!サイトでも
PEARSについて分かりやすい漫画が掲載されていてオススメです。
保育園看護師におすすめポイント
病態のアセスメントを順序だててできるようになる
PAT(Pediatric Assessment Triangle)
パッと見た感じの評価をして、
ABCDE(気道、呼吸、循環、神経学的評価、全身観察)の順に評価していきます。
日頃アセスメントする時って、
目立つ症状に気が取られがちなんですけど、
情報の取りこぼしが無いように
順番にやっていくことが重要です。
特別な医療器材のない保育園でも
脈拍・呼吸数測定、
CRT(毛細血管再充満時間)や末梢冷感など
見たり触ったりすることで評価できるポイントがたくさんあるので、
そういう方法を再確認することができます。
PEARSの研修では、
PAT→ABCDE→だから〇〇という評価を繰り返しトレーニングします。
病態と今後の予測ができる
例えば、アセスメント結果から
今は血圧が保たれているけど、
脈拍・呼吸数が多く、循環も良くはない…。
おそらくショックの代償期だと考えられ、
予備力が少ない小児だと、
一気に悪化すると想定できるようになるので、
今すぐ受診(もしくはDrコール)が必要だなと
現状から今後の見通しを立てられるようになります。
初期治療まで理解できる
ショックの種類によって、
使用する輸液や投与量・速度が違う事や
room airでSpO2 94%以下+徐脈で100%酸素を開始したりと
病院勤務で使う知識も学ぶのですが、
もちろんCPR(心肺蘇生)もしっかり学びます。
保育園では、めったに重症者っていないので、
定期的にCPRトレーニングを受けておかないと
あれ?この手順だったっけ?と忘れてしまったり、
ガイドラインの変更で微妙に手順・手技が変更されていて
他の医療従事者や職員と一緒にCPRを行ったときに
噛み合わないなどという事が起こり得ます。
病院までのアクセスがよい保育園ばかりではなく、
一次救命処置がどれだけ正確に行えるかで蘇生率が変わるので、
自分の技術の確認と、アップデートは必要です。
最新のAHA(アメリカ心臓協会)ガイドラインが学べる
AHAとは?
AHAとは、心肺蘇生教育に関する情報を世界的に発信する、
1924年設立のアメリカの患者支援団体です。
AHAのガイドラインは、
バイスタンダー・CPR・高度な二次救命に至る救命プロトコールを確立しているため、
事実上、救命処置の国際標準となっています。
最新のAHAガイドラインを学ぶ理由
AHAガイドラインは、
およそ5~6年に1回改訂されています。
AHAは、心血管障害と脳卒中治療の研究も行なっているので、
研究結果に基づき、より救命率の高い方法にアップデートされています。
そのため、数年前に勉強した内容では、
情報が古くなっている可能性があります。
私の場合は、
1人で心肺蘇生を行う場合、胸骨圧迫は片手なので
空いたもう片方の手で、
下顎挙上など気道確保をしながら胸骨圧迫と教わっていたのですが、
最新のガイドラインでは、
気道確保しながらでなくてもよく、
胸骨圧迫に集中するようになっているそうです。
ただ、気道確保しておくのも
間違いではないようなので
両方できるのであればやってもいいとのことです。
日々救命法は新しくなっているので、
せめてガイドラインの改訂に合わせて勉強しておいた方がよいです。
研修内容は?
実施病院・団体によって微妙に内容が変わりますが、
おおまかな内容は同じです。
・ABCDE(一次評価)
・呼吸障害の管理
・ショックの判定、管理
・循環緊急の管理のための器具と手順
・ケースディスカッション
・BLS習熟度テスト
・チーム力学
詳細は、日本ACLS協会ホームページをご確認下さい。https://www.acls.jp/public/dispatcher.php?c=CourseType
最後に筆記試験があり、
学んだことを理解できているか確認されます。
試験内容は、何度も繰り返し説明されている内容や、
ディスカッション題材として取り上げられていたりする内容なので、
しっかり研修を聞いていれば正答できます。
映像を見て質問に答える問題と、
記述してある内容が正しいかどうか判断する問題の2パターンがありました。
PEARSでちょっと大変な事
地方は研修開催頻度が少ない
PEARSを受講しようと思っても、
大都市開催が主なので
地方にお住いの方だと受講しづらいです。
費用はそこそこかかる
実施病院・団体によって変わりますが、
10000~20000円+教材費がかかることが多いです。
私の場合、教材費は
〇テキスト約10000円
〇ポケットマスク(小児)1600円
でした。
予習復習は必須
テキストは、
閉じた状態でA4サイズで208頁あるので、
全部理解しながら読みきるには結構時間がかかります。
事前学習しておく必要がありますし、
受講後、分からなかったことを調べなおす時間も必要です。
研修を受講した感想
病院勤務時代は、
診断名がついていることが前提だったので、
呼吸器疾患だったら呼吸状態をメインに循環も…
という流れだったんですが、
PEARSでは、
診断がついていないこどもをアセスメントして
病態をアセスメントするという流れなので、
なかなか慣れなかったです。
PEARSでは、
PAT、ABCDEの項目を
すべてアセスメント・評価することが重要とされていたので、
今まで系統立ててアセスメント出来ていなかったなと反省しました。
また、研修の中で、
グループになってアセスメント結果を
ディスカッションするのですが、
研修医とPALS(小児2次救急)資格の有効期限切れで参加した看護師と同じグループになってしまい、
2人のサクサク進むアセスメントについていけず、1人ワタワタしていました。
まあ、分からないから学びに行っているのであって、
最初からできないのはしょうがないと開き直っていましたが、
間違ったところを指摘されて
そうか、そう判断するのかと勉強になりました。