新人じゃなくなった保育園看護師さんにおすすめ書籍10選

保育園看護師になって1年目は
とりあえずガイドラインを読み込んだり、
保育行事や園のルールを覚えることに精いっぱいで、
なかなか専門的な勉強まで手が回りませんよね。

ただ、医療者が看護師1人という園が多いので、
自分で幅広い知識や制度を勉強していかないと
子どもたちへの看護の質が低下していきます。

そうならないためにも、
新人じゃなくなって勉強する余裕ができたころに
保育園看護師歴7年の私からお勧めする書籍を
独断と偏見で10冊選んでみました。

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小児科全般

病院の小児科で経験がある方は
すでに持っているかもしれませんが、
保育園看護師さんって小児科経験がない方もいるので、
とりあえず小児科全般の本が欲しい!
と思ったときにおすすめの2冊です。

病気がみえるvol.15小児科

幅広く小児関連の疾患が集まっているので、
「聞いたことはあるけど、どういう疾患だっけ?」
「サクッと病態が知りたい」
という時にはすごく便利です。

ただ、すべての疾患を詳しく取り上げられませんし、
看護の注意点などの情報はネットで検索したり、
専門書を購入したりする必要はあります。

領域ごと(新生児、循環器など)に
基礎知識をまとめたページが必ずあります。
それを理解したうえで
各論の疾患を解説しているので、
疾患を理解しやすい構成になっています。

ここまで細かく解説やイラスト、
画像を詰め込んだ良書はそんなにないので、
小児に関わる人は家に置いておくいて、
「病気がみえる」をベースに
細かく調べていくという勉強方法がおすすめです。

個人的に、新生児領域は
保育園では、そこまで必要ない知識かなと思ったのですが、
遺伝性の疾患パートは、そういう意味だったんだ!と目からうろこでした。

時々保育園でも、遺伝性疾患の子っているので
まんべんなく基礎的な理解は必要ですね。

イラストを見せながら説明する 育児のポイントと健康相談

書籍の構成が、
イラストと簡潔な文章で1ページ
(もしくは見開き1ページ)概要がまとまっています。
その後、詳しく文章で解説されているという流れなので、
保護者への説明も、
最初にまとまった概要を見せながら行う、ということもできます。

病院ではあまり質問されなかった、
命に係わるほどではないけど、
保護者の悩みの種になることがたくさん解説されています。

例えば、食べ物の好き嫌いとか
トイレットトレーニングをどうするかとか。
学生時代しっかり習っていないので、
どう答えていいものやら…。

他にも、保健業務で役立つ内容もあります。
例えば、身体測定結果をどう読み解くか、
太りすぎ、やせすぎへの指導内容は?といった内容や、
「熱を出しやすい子」という項目では、
保育園に来るとなぜが高体温になる子について
解説されていたりします。

ケガ・急変時対応

こどもの外科救急

保育園ではとにかくケガが多いです。
だいたいは軽傷なので
冷やしたり絆創膏貼って終わりなのですが、
最初は軽傷に見えても実は…ということもあります。

例えば転倒して腹部打撲して
最初は軽傷かと思ったのですが、
その後急変した事例もあったため、
最悪の事態を想定してアセスメントしないといけません。
→事例の詳細は消費者庁ホームページで。

この書籍では、
外傷ひとつとっても、
頭部外傷だとこういう可能性があるため、
観察ポイントは●●で、
こういう基準でCT適応になるという
詳細な解説があります。

外傷は他にも
顔面、胸部、耳・目・鼻、上肢、下肢…
など各部位ごとに詳細に解説されていたり、
動物咬傷の章では、
ヒトが噛んだ傷って結構汚染されてるから
感染症おこすこともあるよねっていうことも解説されています。

もちろん処置は病院にお任せすることが多いと思いますが、
園内でのアセスメントや
どの段階で受診を検討しないといけないのかが理解できるようになります。

PEARSプロバイダーマニュアル

私がおすすめしなくても
みなさんご存じかと思いますが、
小児の一時救命処置が細かく解説されています。

アメリカ心臓協会のガイドラインに準拠したテキストで、
一部日本では当てはまらない項目もあるのですが、
基本的な考え方は、院内・院外問わず学んでおくべきです。

私が一番勉強になったのは、
これまでの経験で行っていたアセスメントを
PAT、ABCDEの順で行うということです。
こうすると、必要な情報の取り忘れもないし、
何より言語化しやすいので便利です。

上記記事でも紹介したのですが、
テキストだけでなく、研修も一緒に受けておく方が実践的です。

記事内で、自分が周囲と比較してどれだけできなかったか紹介しているんですが(涙)、
テキストを読むだけでは理解できなかった
演習を通してアセスメントの流れを理解できたので、
「保育園で急変対応できるかな…」
と心配な方は、ぜひ研修も受けておくことをおすすめします。

皮膚科

子どもの皮膚トラブルも
保育園で困ることあるあるです。

保育士さんから
「この赤みって何かの感染症ですかね?」
と質問されて知らんがな!と思いつつ、
しっかり皮膚科の勉強してこなかったな…
と感じている方におすすめの書籍です。

ちなみに具体的な疾患は
Google検索をすると、だいたいの疾患の情報は得られます。
日本皮膚科学会の「皮膚科Q&A」も詳しいですし、
Google画像検索では、皮膚病変の画像が豊富に閲覧できます。

マンガでわかる!子どものアトピー性皮膚炎のケア

TwitterなどSNSや各種メディアでもご活躍の
堀向健太先生の書籍です。

こういう「マンガでわかる」系の本って、
導入部分だけマンガで
難しい解説部分は文章で、っていうのが多いじゃないですか。
でも、この本は本当にマンガだけ読んでも
最新の治療や予防などエビデンスに基づいた情報が理解できます。

保育園看護師さんには、
医療的な情報もおすすめなんですが、
保護者がどういう気持ち・状況におかれるのか、
という部分が、マンガでしっかり丁寧に描かれているのも必見です。

アトピー以外でも慢性疾患って
どうしても保護者のケア負担が大きくなるし、
なんちゃって医療を身近な人からごり押しされて、
今の治療方針に不安を感じたりとか、
そういう保護者に寄り添えるように
しっかり理解しておくことが重要です。

ちなみに堀向先生はブログも運営されていて、
論文や世間で話題になっていることなどを
解説されているブログです。
ブログは「小児アレルギー科医の備忘録」です。
ちょっと看護師には内容が難しめですが、
時間のある時にぜひ読んでみてください。

たった20項目で学べるスキンケア 

風疹の発疹はこんな感じで…
など感染症と紐づけて皮膚について勉強しがちなのですが、
保育園では感染症以外の皮膚トラブルの方が多いです。

おむつかぶれや汗疹、
原因不明の発赤、膨隆疹などなど、
ケアをどうしていくか、ということを考える機会が多いです。

スキンケアというと
美容目的という認識が一般的ですが、
医療的にスキンケアは
皮膚感染症予防だけでなく、
アレルギー発症の予防、
QOLの維持・向上など
子どもたちの健康に重要なケアです。

この書籍の主な症例は成人なのですが、
皮膚の基礎知識やスキンケア方法、
食べ物で痒くなるって本当?など
保育士、保護者から質問されることもある内容について
詳しく解説されています。

私のように皮膚科をしっかり勉強したことがなかった保育園看護師さんにおすすめです。

雑誌

小児看護/へるす出版

以前の特集では病院の看護がメインだったのですが、
最近は、施設や学校など
病院外での看護について特集されていることが増えてきました。

2022年に発刊されたものでお勧めなのは、
2月号「今さら聞けない看護の根拠」
4月号「発熱をもう一度考える」
です。

2月号の内容は
外来や保育園でもよく見る体調不良や疾患についてまとめられていて、
Q&Aも各項目の最後にまとめられているので、
私に勉強したエビデンス古くなってない?
と確認するのに最適です。

4月号の内容は
「不明熱」「保育園での発熱」など
保育園でよく経験する発熱が解説されており、
保護者に説明するときに使えるなって思います。

※Amazon、楽天で購入できますが、
 発売日数日後には売り切れということも多いです。
 出版社からも購入できますが、
 定期購読や発売数日前に予約購入すると便利です。

チャイルドヘルス/診断と治療社

小児保健に特化した雑誌です。
医療書ではなかなか取り扱わない、
こどもの発達過程で出てくる問題や、
教育・福祉面での課題など、
子どもに関する幅広い情報が特集されています。

2022年に発刊されたものでおすすめなのは、
4月号「子どもと暴力」
11月号「頭痛を訴える子どもに向き合う」
です。

4月号では、
子どもの暴力行為の現状や
暴力を振るわないために必要なこと、
子どもが受けているハラスメントや虐待について
幅広く紹介されています。
保育園でも、暴力で解決しようとする子って
一定の割合でいるので、
暴力をふるってしまう子って何を抱えているのかな?
っていうアセスメントに役立ちます。

11月号では、
子どもの頭痛について取り上げられています。
多くは小学生以降に当てはまる内容だなと思ったのですが、
園児でも時々「頭が痛い」という子がいます。
ほとんどは睡眠不足で寝れば治るのですが、
急いで受診が必要な場合や、
神経発達症(発達障害)が見つかる事例など、
いろんな可能性を考慮して対応できないといけないと感じるので、
詳しく解説されていて勉強になりました。

※Amazon、楽天で購入できますが
 発売後数日で売り切れ状態になることも多いので、
 定期購読や発売数日前に予約購入しておくことをお勧めします。

その他

初めてのけいれん さあどうするか

発熱があってけいれんすると
安易に「熱性けいれん」だと考えていませんか?

けいれんを起こす疾患って色々あって
てんかん、髄膜炎、脳炎・脳症などが思い浮かびますが、
意外と低血糖や電解質異常だったりして、
学生時代に習った知識を総動員して
けいれんの原因を想定した対応をしないといけません。

もちろん診断は医師がするものですが、
この本では、いろんな事例を通して
どんなことが原因でけいれんが起こるのか、
起こったときの対応、
保育園で提供できる診断に必要な情報とは何か、
脳波だけで診断できないですよっていう豆知識など、
わかりやすい文章で解説されています。

特に保育園職員は、
けいれん発作への対応が不慣れなことが多いし、
間違った知識を覚えてしまっていることもあるので、
看護師がしっかり理解して情報提供や
けいれん発作時対応マニュアル作成などできるといいですよね。

小児科医宮本先生、ちょっと教えてください!

お医者さん同士の会話形式の本です。
堅苦しくなくて保育園や小児外来あるあるが解説されています。

ダイアップの処方時や、
便秘、発達、食物アレルギーなど
保護者から相談された時に、
医師がどう考えてどう判断・説明しているのかがわかります。

どうしてそれが保育園で必要なのかというと、
保護者から「小児科を受診して、医師から●●って言われました」と報告されることが多いです。
もちろん理解できることも多いのですが、
中にはどういう考えで保護者に説明した?
っていう謎な状況に陥ることがあります。

そういう時に、
医師はこういう風に考えて
保護者に説明したけど、
それを聞いた保護者はこういう風に受け取ったんだな、
というところを理解するために
この本を読んでおくとよいかと思います。

ただ個人的には
発達障害(神経発達症)や
喘息、アトピー性皮膚炎など、
定義、診断、治療などをしっかり学びたい人は
それ単体をテーマとしている専門書の方がおすすめです。
医師の思考過程を知りたい方にはおすすめの本です。

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